札幌高等裁判所 昭和27年(う)717号 判決
賍物運搬罪は賍物であることを知りながらこれを運搬することによつて成立するものであるが、その故意が成立するためには必ずしも運搬すべきものが賍物であることを確定的に知つていることを必要としない、或は賍物であるかも知れないと思いながら、しかも敢てこれを運搬する意思(いわゆる未必の意思)があれば足りるものと解すべきである。本件において原判決が証拠として挙示している原審公廷における証人平野巖の供述によれば、被告人が平野巖の依頼により本件の物品を運搬したのは深夜であること、その際同人から親に内緒の物を運んでくれと言われていること、又その前四項草原のなかに牧草を以て蔽い隠してあつた同様の物品を平野巖の依頼により深夜運搬していること等が窺われ、右事実は十分人をして「賍物ではないか」、との推量をなさしむるに足る事情である。しかして原判決が証拠として引用せる原審公廷における被告人の供述によれば、被告人自身当時右物品の性質につき疑念をいだいていたことを看取するに足り、以上を綜合すれば被告人が賍物たるの情を知つて本件物品を運搬したものと認定するに十分であつて原判決にはなんらの事実の誤認はない。論旨は理由がない。